覚悟はしていましたが、案の定めちゃめちゃ混んでいました。この人気は日本美術の展覧会だからなのか、大英博物館のコレクションだからなのか、そのどちらもが重なっているからなのか。私がこの展覧会に行こうと思ったのは、「里帰り」してくる日本美術に会いたかったから。ということは最後のどちらもが重なったから、でしょうね。
大英博物館が所蔵している日本美術は約4万点だそうです。明治時代、お雇い外国人を中心に海を越えてやってきた外国人たちがここぞとばかり日本の美術品を買いに買って本国へ持ち帰り、膨大な日本美術コレクションができたことはよく知られています。大英博物館だけでも4万点です。例えばフランスやアメリカにも日本美術のコレクションがたくさんあります。それぞれの国に膨大な日本美術のコレクションがあるということは、それだけわが国の美術が世界中の人々を魅了したということですよ。
今となってはその価値が世界中で認められている浮世絵、良い状態の版が大量に外国に行ってしまったことを、私は以前少し残念に思っていました。日本の技術と日本人の美的センスで培ってきた浮世絵を外国人に持っていかれてしまって、日本にはいいものが残っていないのではないか、そんなふうにネガティブに捉えていました。ただ、最近は逆に外国人が手当たり次第と言ってよいほど買い集めたのは、それだけの価値を見出したからなのだ、とポジティブに捉えるようになりました。珍しかったとはいえ、たいしたことないと思ったのならこんな膨大になるまで買わないと思うし。そして、実際に極東の小さな島国の美術品は、外国で大切に扱われていることに、今回の展覧会を観て改めて感動しました。もちろん日本にだっていい状態の浮世絵や肉筆画、日本美術はたくさん残っています。里帰りした今回の作品たちも大事に扱ってもらえていることが伝わってきました。
作品をいくつか紹介します。円山応挙《虎図》。構図がとっても面白い。縦長の掛軸で中央から下に虎が描かれています。ちょうど隙間から覗いている感じ。まさに虎が虎視眈々とこちらを狙っているような、そんな迫力がありました。虎の顔自体はかわいいのですけれど。私の前を通り過ぎた女の子かこれを観て「ネコバスだ」とつぶやいたのがなぜか耳に残ってしまいました。
英国ジョージ王子と久保田米僊の共作《蛍図》。●にちょんちょんと線を描いただけにみえるのになんでこんなにかわいいんですか。ポストカードを購入してしまいました。
浮世絵コーナーは、画家ごとに壁の色を変えての展示です。中性的な表現が魅力の鈴木晴信、流れるような女性の所作が際立つ鳥居清長をはじめ、北斎、歌麿、写楽、広重、国芳と有名どころはもちろん揃っています。あれ?初代歌川豊国ってこういう画風でしたっけ?豊国の役者絵がこんなに親しみやすかったなんて気づいていませんでした。
河鍋暁斎《骸骨遊戯図》は、とりあえずキモかわいい。
肉筆画のコレクションも素晴らしかったです。素人目でみても保存状態がとても良いのではないかと思いました。
浮世絵は私が美術館巡りを始めたきっかけになったものなので本当はじっくりと観たかったのですが、さすがに自分のペースで立ち止まって見入ることはできませんでした。それでも、多少隣の人とぶつかり合いながらでも里帰りした彼らに会いに行く価値は高かったと思います。


東京都美術館『大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画』
会期:2026年7月25日(土)~10月18日(日)
大阪中之島美術館 会期:2026年10月31日(土)~2027年1月31日(日)





































