福岡県立美術館『生誕130年 児島善三郎展 キャンバスにこめた希望』へ行ってきました 

 美術に関して独自の勉強を始めるようになってだいぶ経ちますが、いつもいつも勉強不足だなぁと思います。今回訪ねた福岡県立美術館では、福岡ゆかりの画家の展覧会のほか、幅広い分野の企画展が開催されています。今回は博多出身の画家、児島善三郎展です。名前は聞いたことがあったのですが、その作品をじっくり観ることがなかったのだと改めて気づきました。最近、知らなかった作家との出会いが多くてそれもとても楽しみです。

展覧会 出入口

 児島善三郎(1893-1962)は、現在の博多出身の洋画家です。作品を観ていて、この人はとても真面目な一生懸命な人だったのだと感じました。どういうところでそう思ったかというと、他の作家の作品を連想させる作品があるからでした。例えば梅原龍三郎風だったり、パリ留学の成果でしょうか、フォービスムを思わせたりと、いろいろな作風を熱心に研究したようです。展示室を進むにつれて真摯に絵を描くことに取り組んできたことがひしひしと伝わってきます。2年間ほど岡田三郎助に学んだようですが、以降は独学で学んできたからこそ、一層研究に力が入ったのかもしれません。「日本洋画」の在り方を真剣に考えていた画家の一人なのでしょう。昭和5年に結成された「独立美術協会」の中心的な存在だったのですね。恥ずかしながら今回の展覧会で得た知識の一つです。

 

 晩年の療養中の病室には10数点の描きかけの作品があったそうです。花と花瓶が描かれているその作品群は穏やかさの中にも熱いパッションも伝わってきます。人生の終わりを意識しつつも「描きたい!描きたい!」という気持ちが溢れているようでした。最期まで希望に満ちた画家人生だったのでしょう。

《ダリア》
《アネモネ》
《ミモザその他》

 

 展覧会の最後の作品は児島善三郎の絶筆です。絶筆というのは、何か特別なオーラを感じます。絶筆に至るまでの人生は画家によってそれぞれです。どの画家の絶筆を観てもその人生が反映されて迫力があり胸に迫ってくるものがあります。児島の絶筆の《花》も、花瓶は輪郭だけを残したまま、バラはきれいに、それでいて力強く咲いていました。

 

福岡県立美術館『生誕130年 児島善三郎展 キャンバスにこめた希望』

会期:2023年10月7日(土)~12月10日(日)(休館日:月曜日)

美術

Posted by mocchi