竹久夢二美術館『夢二式美人のひみつ』展へ行ってきました

2023-11-13

「私はあまりにも女性の美を知りすぎている」と日記に書いたのは、明治から大正にかけて活躍した画家・詩人、竹久夢二。文京区にある弥生美術館・竹久夢二美術館へ行ってきました。

 東京メトロ千代田線の根津駅から徒歩で10分弱。東京大学の目の前です。二つの小さな美術館が短い廊下でつながっています。弥生美術館から入って1階、2階の展示室を観ると2階からそのまま竹久夢二美術館の2階展示室へと続きます。そこから1階の展示室へ。そして弥生美術館の入口へ戻ってきます。それぞれの美術館で展覧会が開催されていて、一度に二つの展覧会が楽しめる美術館です。現在、弥生美術館では『デビュー50周年記念 村上もとか展 ~「JIN―仁―」、「RON―龍―」、僕は時代と人を描いてきた。~』が開催されています。

 今回は竹久夢二美術館を紹介します。竹久夢二は岡山県生まれ。16歳で上京、大学在学中に雑誌に投稿したのをきっかけにデビュー。以来多くのコマ絵や挿絵を発表し、「夢二式美人画」を確立しました。夢二式美人に共通のしぐさとポーズがあるそうです。もたれる、化粧する、泣く、後ろ姿、伏し目、手と指先。作品をよく観てみると本当にだいたいこのどれかに当てはまります。あえてポーズをとっているものもあるのですが、そうではないちょっとしたしぐさが描かれている作品からはどれも清楚な女性がイメージできます。夢二式美人は当時の女性たちの憧れで、こぞって着物や髪形などを似せようとしたそうです。夢二の描く女性は、顔立ちが整っていたりスタイルが抜群な美人というよりも“しぐさ美人”なんです。例えば、前髪をいじるとか本を読むとか化粧をするとか、誰もがする動作が描かれているからこそ、多くの女性が自分と重ね似せようとしたのでしょう。誰もが、夢二の描く憧れの女性に近づくことができるのです。タイトルにある「夢二式美人の秘密」とは、きっとここにあるのですね。当時多くの女性を魅了してしまう親近感があったのだと思います。

 夢二は恋多き人生を送ったようです。解説を読んでいて私は呆れてしましました。冒頭で紹介した日記の一文もしかりです。なんといえばよいのか…その部分だけ切り取れば日本のピカソみたいな感じでしょうか。どんな恋だったのかは美術館で作品と一緒に観てみると面白いと思います。

 千代紙や浴衣のデザインも手掛けていた夢二。小さい美術館ですがショップには夢二デザインのグッズが充実しています。

 帰りは不忍池をぐるりとして、上野駅まで徒歩20分ほどを歩いてきました。上野には何度も来ているのに、不忍池に来たのは初めてでした。ここで多くの女性たちが、夢二デザインの浴衣を着て思い思いの時を過ごしたのかと思うと少しだけ、ノスタルジックな気分が味わえました。

竹久夢二美術館 『夢二式美人のひみつ』

会期  2022年6月4日(土)~2022年9月25日(日)(休館日:月曜日)

美術

Posted by mocchi