大阪浮世絵美術館『浮世絵 匠の技』展へ行ってきました

私が美術館へ行くようになったのは、浮世絵がテーマになっているミステリー小説を読んで「日本人なら浮世絵を観るべきだ!」と思い込んだことがきっかけでした。それから浮世絵の展覧会へ行くようになり、その後ジャンルがどんどん広がって興味を持った展覧会に足を運ぶようになりました。浮世絵は私の美術館巡りの原点です。

 大阪メトロ心斎橋駅から徒歩5分ほどの大阪浮世絵美術館。ビルの3階にある小さな美術館です。前回までで小さな美術館では素晴らしい展覧会に出会えると気付いたタイミングで今回も大当たり。予定の倍の時間をここで費やしました。いやー、本当に勉強になりました。

展示されている作品数は50点ほどでした。秀逸な浮世絵技術、職人技の数々を観ることができます。「ぼかし」「雲母摺(きらずり)」「空摺(からずり)」「藍摺(あいずり)」「正面摺(しょうめんずり)」「ワニス引き」「毛割(けわり)」。技法ごとに作品が展示されていて、中でも私が感動したのが「空摺」と「正面摺」です。「空摺」は絵具を使わずに凹凸だけで紙に模様をつける技法で、現代でいうエンボス加工のようなものです。着物の模様や雪の表現に使われています。美術館の方がルーペを貸してくださり、空摺部分をじっくり見ることができます。展示作品の中で「おおぉ‼」と思ったのが空摺で表現されている団扇の骨のリアルさ!積もった雪の上につく足跡!技法の凄さに気を取られていて作品名を控えてくるのを忘れてしまいました。もう一度観たいです。

そして「正面摺」。これは特に黒い部分のつやを出す技法で、角度を変えて観てみると模様が浮き上がってきます。通常は額縁に入っていても展示作品に手を触れることはできませんが、ここでは一部の作品を美術館の方が斜めに持ち上げて正面摺の模様をみせてくれます。スツールも用意されていて「ここに座って、もう少し横、この角度で観てごらん」と見どころの解説もしてくれます。キャプションの解説も非常にわかりやすい言葉を使っていて理解しやすかったです。

通常の観覧チケット+数百円でポストカード3枚がもらえるお得なチケットを購入していたので、鑑賞が終わった後はミュージアムショップでポストカード選びという楽しみが待っていました。いやー、これもまた楽しい時間でした。

大阪浮世絵美術館『浮世絵 匠の技』

会期 令和4年3月1日(火)~8月21日(月)(休館日:月曜日)

美術

Posted by mocchi