ポーラ美術館『ピカソ 青の時代を超えて』展へ行ってきました

 箱根にあるポーラ美術館で新しい展覧会が始まったので行ってきました。今回の主人公はパブロ・ピカソです。メインはピカソの「青の時代」の作品を科学的に分析して初期作品を捉えなおす、というものです。ポーラ美術館所蔵《海辺の母子像》、ひろしま美術館所蔵《酒場の二人の女》、バルセロナ ピカソ美術館所蔵《鼻眼鏡をかけたサバルテスの肖像》を、X線や赤外線を使って下層に何が描かれているかを分析した結果を映像などで見ることができました。

展覧会 入口

 「青の時代」といえば、ピカソの苦悩の時代、貧困の時代と言われています。私はこの頃のピカソ作品が好きです。損得なしでただ絵が描きたいのだ!という気持ちから描いているように感じるのです。その青の時代の作品を科学的に分析し、何層にも描き替えられた作品をある意味暴いてしまったのが今回の展覧会です。ピカソは当時、過去の作品がこのようにX線やら赤外線やらを駆使して観られてしまうことを想像していたでしょうか。鑑賞者からすればこれはとても興味深いことなので、科学の力もってしてピカソ作品に限らずオールドマスターの作品研究がもっともっと進めばいいなと思います。

 《海辺の母子像》、私が一番好きなピカソ作品です。まず背景の青色のような緑色のような深い色が愛情の深さの表れのよう感じます。そして母子の姿。心の底から赤子を慈しむ母親の愛情が伝わってきます。この母子の背景にはいろいろなことがあるのでしょう。それでも母の愛は別次元に存在するのだろうと思ってしまします。船はこの二人を幸せへと運んでくれるのでしょうか。

《海辺の母子像》

 ピカソには作品以外でも数々の伝説がありますよね。正直私はピカソの人となりはどうかと思っているのでそこには興味が持てません。ただ、悔しいことに作品を観ると感動してしまう。作品の前に立ち止まっていつまでも観ていられるような気にさせられてしまう。これが巨匠の魔力。

ポーラ美術館 『ピカソ 青の時代を超えて』

会期:2022年9月17日(土)~2023年1月15日(日)(会期中無休)

【巡回展  ひろしま美術館 会期:2023年2月4日(土)~5月28日(日)】

美術

Posted by mocchi