三菱一号館美術館『ヴァロットン―黒と白』展へ行ってきました

 迂闊にも、こんなに魅力的かつ不思議な作品の存在を知りませんでした。フェリックス・ヴァロットンという画家も実は今回の展覧会の告知を見るまで知りませんでした。三菱一号館美術館のHPはいつもチェックしています。ここでの展覧会は注目する視点が面白いと思っています。今回の展覧会が告知されてすぐに「これは観る」と決めていました。何が私の琴線に引っかかったのか?ポスターにもなっているあの作品を観た瞬間に決めていました。

この作品が私の直観を刺激しました

 面白かった!行ってよかった!ヴァロットンのこと知らなかったのにこの展覧会を観ようと決めた私の直観‼

 では、何がそんなに面白かったのか。一言でいうと・・・無理です。一言では語れない。ヴァロットンに関して言えば、エッジの効いた作風。センスの良い構図(浮世絵っぽいところが嬉しくなりました)。そして、冷静に客観的に世の中を観ているような視点。黒と白のバランスが絶妙です。版画による黒と白の効果を知り尽くしている人なのではと思いました。19世紀生まれの人なのに、初めて彼の作品を観る私にはとても新しいものに見えました。

 さらに良かったのがセンスの良いキュレーション。例えば展示室の所々に登場したちょっとしたアニメーション。同じ時代を生きて、技法は違えども同じく版画の復興に一役買ったロートレックの作品との比較。シリーズ物は映像として壁に大きく映し出す。こういう演出は展示スペースが限られていてもたくさんの作品を観ることができるのですね。美術作品は本物を実際に観たい!と今までは思っていましたが、今回はその考えを少し改めました。

壁に映し出される作品

 アニメーションといえば、3階の展示室から2階へ移動する途中にある休憩室で、ヴァロットンの《アンティミテ》シリーズをアニメーション化した映像があって、「ヴァロットンはこういう意図でこれを描いたんだな」というのがすごく伝わってくる、人物の動きがとっても面白かったです。動画撮影可だったので、約2分撮影してきました。

 出口にヴァロットン作品のスタンプが置いてあります。期間中に3回ほどスタンプが変わるようです。本当に今回の展覧会はにくい演出をします。困りましたね、他のスタンプも全部欲しくなっちゃいますよ。

自分の手帳にスタンプしてきました

三菱一号館美術館『ヴァロットン―黒と白』

会期:2022年10月29日(土)~2023年1月29日(日)(休館日:月曜日)

美術

Posted by mocchi