そごう美術館『面構(つらがまえ)片岡球子展 たちむかう絵画』展へ行ってきました

  歴史に名を残す人物が画面いっぱいにドーンと表現されている、片岡球子の《面構(つらがまえ)》シリーズが全作勢ぞろいしている今回の展覧会。どれもダイナミックでとても見応えがありました。画家になることを反対され、勘当されても続けた作品制作の力強さを《面構え》というタイトルからも感じることができます。

 このシリーズの見どころは、独特で印象的な色彩だと思います。片岡球子は作品に取り組むとき、必ず取材をしていたといいます。歴史上の人物については残されている肖像画や文献などを研究したようです。顔の色が緑やオレンジ色に描かれている作品もあります。それが本当の顔に色ではなくても球子女史にはそう映った、そう感じたのでしょう。それをそのまま表現したらあのような鮮やかな色彩になった。自分がどう感じたか、それが球子女史の「取材」だったのだと思います。

  面白いエピソードが紹介されていました。東洲斎写楽に独自のキャラ設定をしているのです。「写楽は富豪か貴族の出と決めました。絵は売れなくても専門の研究は十分に出来る境遇であったとしました。いっそ、徳川家にゆかりのある人物としてみました。そして外国貿易にでも凝って、ついに海外に定着して日本には帰ってこなかった人物であると決めました。フィクションです。」片岡球子作品の魅力はこれですよ。この独創的な発想、柔軟で自由な想像力が、一度観たら忘れられないようなダイナミックな作品を作りだしてきたのでしょう。私も美術館で作品を観るとき自己流に想像するのがとても好きです。こんなふうに柔軟な楽しい発想ができるようになりたいです。

そごう美術館『面構(つらがまえ)片岡球子展 たちむかう絵画』

会期:2023年1月1日~1月29日(会期中無休)

美術

Posted by mocchi