東京ステーションギャラリー『佐伯祐三ー自画像としての風景』展へ行ってきました

 ギャラリーの前まで来て入口にある大きなポスターを見た時に、そういえば副題にある『自画像としての風景』ってどういう意味だろう?自画像って自分で自分を描いた肖像画のことだよなぁ・・・そんなことを考えながら展示室への向かうエレベーターに乗りました。エピローグにたどり着くまでに私なりの答えが見つかるでしょうか。

 プロローグは自画像です。導入部分で自画像をずらりと並べているのはなかなかインパクトがあります。その中でもやはり顔が削られている《立てる自画像》は存在感がありました。そこから、東京の風景、肖像画、静物画と展示が続き、パリ時代の壁やポスターを描いたよく知られている佐伯作品に移っていきます。

 私は、佐伯祐三の静物画を観たのは初めてかもしれません。パリの壁や街角を描いたあの緊迫感があり悲壮感も感じてしまう作品も印象に強く残りますが、佐伯の静物画はむしろホッとするような作品です。《テレピン油のある静物》は右上から差し込んでいる光の加減がかっこいいと思いました。

 最後の写生地となったヴィリエ=シュル=モランでの作品を観ていたら、ここでの制作が一番楽しかったのかもしれないなぁと勝手に思いました。描くことに苦悩している感じは受けず、楽しんで描いているような印象を受けました。

 そして『人物と扉』と題されたエピローグ、入口のポスターにもなっている郵便配達夫、最後に展示されている《扉》、穏やかさを感じます。佐伯祐三は、その時自分がいる場所を自分と一体化させてそこを「自分」として描いたのかもしれません。自分が今いる場所を描くこと=そこを「自分」として描くこと。それが『自画像としての風景』、私はそう解釈しました。正直、これから図録の解説を読みます。そこに本当のこの副題の意味が書かれていると思うので、私がそれに近づけたのか検証してみます。

東京ステーションギャラリー 佐伯祐三―自画像としての風景

会期:2023年1月21日(土)~4月2日(日)

【巡回展 大阪中之島美術館 会期:2023年4月15日(土)~6月25日(日)】

美術

Posted by mocchi