ベルナール・ビュフェ美術館『”ビュフェ・スタイル”とは何か?』へ行ってきました

 大好きな美術館の一つに行ってきました。平日の開館とほぼ同時に入り、不思議で魅力的なベルナール・ビュフェの作品をたっぷり、ほぼ貸し切り状態でじっくり堪能できました。

 私がベルナール・ビュフェの作品を観た時の感想は、いつもいい言葉がなかなか見つかりません。悲しそうだけど楽しそう。新しいけど懐かしい。無気力そうだけど力強い。感情の表裏一体があらわされているとでもいいましょうか。人やものの内面を抉り出してもいるし美しさも同時に観ることができるのです。だから自画像からは世間への皮肉も感じるし画家の信念も伝わってくる。花が描かれた作品からは花の美しさも散っていく儚さも感じる。本当に不思議で魅力的な作品です。

 今回の展覧会では、ビュフェ作品の見どころを7つに分類して展覧していきます。①色 ②細い人物 ③静物画 ④線 ⑤無人の風景 ⑥海と船 ⑦人間・ビュフェ。どれもビュフェの作品を観るうえで重要な要素です。例えば③静物画。写実的に描くのが目的ではなく、彼が必要と思う要素を取り出している。真横からだったり真上からだったりする。テーブルと静物の位置関係は実際にはありえないけれど、それがとても面白い関係で、まるで本当にそう置かれているように自然に思える。こんな要素が7つもあるのです。何度観ても飽きないです。少し離れたところからでも誰の作品かがわかる、それがスタイルを確立した画家の作品なのでしょう。ベルナール・ビュフェはそうした画家のひとりですね。

 私はキャプションをよく読みます。先に読むか作品を先に観るかはその時々です。今回は先に作品を観ることにしました。まずは自分がどう思うかを知りたかったからです。それからキャプションを読むことで自分が感じたことの根拠がキャプションで理解できることが多いです。ここのキャプションは言葉がわかりやすくて説得力もあり、私の作品鑑賞をたくさん助けてもらいました。

 ほぼ貸し切り状態だった展示室、細野不二彦さんの漫画『ギャラリーフェイク』で、主人公のフジタレイジがメトロポリタン美術館の展示室を一室貸し切って名画鑑賞するシーンがふと頭をよぎりました。

ベルナール・ビュフェ美術館『“ビュフェ・スタイル”とは何か?』

会期:2023年4月1日(土)~11月7日(火)(休館日:毎週水・木曜日)

美術

Posted by mocchi