東京都庭園美術館『旧朝香宮邸を読み解く A to Z』へ行ってきました

 重要文化財に指定されていて、アール・デコ様式の建築として知られている旧朝香宮邸へ行ってきました。戦後は首相公邸や迎賓館としても使われ、ここが東京都庭園美術館として開館して40周年。とにかく素晴らしかったです。美術館の雰囲気や床や壁紙まで、まさに洗練されているとはこういうことを言うのでしょう。朝香宮は素晴らしくセンスの良い方だったのですね。

 今回の展覧会は各部屋をAからZの頭文字を使ってキーワードで解説し、歴史的にも重要な邸宅を読み解いていくというものです。フランスに滞在されていたという朝香宮ご夫妻が当時フランスで流行していたアール・デコ調で建てられたということです。とはいっても床に寄木を採用したり床の間を設えたりするなど日本の技術も取り入れているところはさすが日本の皇族の方だと思います。そして、ドアノブとか、排水溝の蓋とか、小さなところにも気配りがされているようなデザインが素敵すぎて思わず「おしゃれ」とか「ステキ」と言葉がこぼれてきました。

次室「香水塔」
小食堂
二階広間照明柱

 私が特にステキ!と思ったのは、各部屋の照明のデザインです。一点ものの照明がもう本当にかわいい!おしゃれ!それぞれのお部屋をお使いになる方や用途に合わせてデザインされているようで、そのセンスにも素晴らしさを感じました。

大食堂照明 ルネ・ラリック作
若宮居間照明
允子妃殿下寝室照明

 A~Zを頭文字にした解説文がカードになって展示室や通路、階段などに置いてあり、自由に持っていくことができます。解説文に合わせて写真やデザインが反面にプリントされていてとてもわかりやすく作られていました。今回の展覧会の仕掛けとして面白かったのは、最後の展示室に穴あけパンチとリボンと表紙になるカードも用意されていて、そのカードをまとめられるようになっています。このカードが図録の代わりになるくらいです。すべての展示を観終わってからA~Zすべてのカードが揃っているかを確認しました(そして図録も購入してしまいました)。

 他にも見どころ満載です。書庫、チェア、ウィンターガーデン、浴室、壁画、マントルピース…アール・デコ様式と日本の伝統が融合しているような「旧朝香宮邸」、きっと何度観ても飽きないでしょう。

東京都庭園美術館『開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z』

会期:2024年2月17日(土)~5月12日(日) (休館日:月曜日)

美術

Posted by mocchi