東京都美術館 公募展『第47回 人人展』へ行ってきました

 初めて公募展を観に行ってきました。1947年設立の人人会の展覧会です。会員と呼びかけ会員の作品を観ることができます。人人会の設立趣旨には「人を縦ではなく横に並べて人人と称してきた」とあり、この会がどんな理念を持っているのかが伝わってきました。どんな作品に出会えるのか、早速展示室へ入ってみましょう。

 はじめの展示室では、人人会の創設の立役者である中村正義の生誕100年特集です。《説法》は穏やかな表情のほんわかした雰囲気の作品でしたが、《自画像》にはぎろりとした目に迫力がありました。

 先へ進むと、さらに会員、呼びかけ会員の作品が続きます。正直に言いますと、足を止めてじっくり観たい作品、他の作品もぜひ観てみたいと思う作品、ただ視界に入れただけの作品、いろいろあって本当に面白かったです。何が描かれているのかよくわからなくても「この作品いいな」と思うこともあれば、逆に人物とか動物とか何か描かれているのかはっきりとわかる作品でもいまいち私の琴線に触れてこない作品もありました。

 

 私が他の作品も観てみたいと思った作家さんを2組紹介します。

 原歩さん《GIRLS‘WAR~こぼれたミルクに泣かないで~》。床にこぼれたミルクを一生懸命拭いている女の子、下を向いているので表情はよくわからないのですが、泣きべそをかいているのでしょうか?タイトルからするとそうなのかもしれません。ただ、何となくそれだけではないような別の意味が隠されているような印象がありました。それが何かは思いつかずにいたのですが、図録を見てみると作家さんのコメントがありました。「臭い蓋をあけるような、水を差すような、そんな作品であるといい」と。漠然と”隠し味的なものはこれかも”と思いました。

 豊泉朝子さん《look》。展示室の天井から床近くまである垂れ幕のような大きな作品です。和紙にうさぎ、魚、花、女性が墨で描かれています。シンプルなのにダイナミックでかわいらしいという、いろいろな感想を持った作品でした。「日ごろ想うコトを絵日記のように描いています」とのコメント。ぜひ他の絵日記もみせてほしいです。

 

ほかにも興味深い作品がたくさんあり、現代作家の発見も楽しいことを知ってしまい、次回の『人人展』も、他の公募展も観に行ってみようと思いながら、展示室を出てきました。

東京都美術館 『第47回 人人展』

会期:2024年3月25日~3月31日(会期中無休)

美術

Posted by mocchi