軽井沢安東美術館へ行ってきました

2024-06-19

  「やっと出来たんだな」、2022年に軽井沢安東美術館が開館した時、こう思ったのは私だけではないはずです。世界的に名の知れている画家である藤田嗣治、レオナール・フジタの作品コレクションを創ったこの美術館の代表理事である安東ご夫妻に、私はフジタの大ファンとして心から感動していることをお伝えしたいです。

 フジタの作品はいたるところで観てきましたが、当然ながらこの美術館で初めて出会う作品は多かったです。展覧会に出品されない作品も多いのでしょう。オカッパ頭の自画像あり、愛らしい少女像あり、猫の絵あり、フジタ作品だけを観ることができるのはある意味なかなかの迫力がありました。

 4つの展示室は、それぞれ緑、黄色、青、赤の壁になっていて、私が特にステキな空間だと思ったのが、オルセー美術館風の青の壁の展示室でした。フジタがカトリックの洗礼を受けたあとに描かれた聖母子像が3点並んでいるその前にはベンチが置かれていて、教会にいるような、そこだけが静かで清らかな時が流れているように感じたのでした。

 この美術館の作品の前には作品保護のための赤外線センサーが付いています。近づきすぎると音が鳴るようになっています。どんな音がするのか興味があるなと思っていた時、先にある展示室からピンポーン、ピンポーンという音が聞こえてきました。なるほど、こういう音なのかと思って自分で試すという好奇心は押さえました。近づいてしまった方の気持ちはとてもよく解かります。私はフジタ作品の繊細な髪の表現や猫などの動物の柔らかそうな毛をじっくり観るのが好きなので。

 数ある所蔵作品の中から展覧会が企画されていることもこの美術館を訪れる楽しみの一つです。多くの画家がそうであるようにフジタ作品にも変遷があるわけで、エコール・ド・パリの時代もあれば、南米への旅の時代もあり、戦争画の時代があり、宗教画の時代があり、テーマ別に楽しめることもこういった個人美術館の素敵なところだと思います。

 安藤夫妻のご自宅に招かれているように鑑賞してほしいという美術館のコンセプトに通じるなと思ったのが、展示室の心地よいソファ。ソファに座って見渡すとフジタの作品だけを楽しめるなんて本当にステキな空間です。

軽井沢安東美術館『春の特別展示 藤田嗣治エコール・ド・パリの時代 1918-1928』

会期:2024年3月7日~(木)~2024年7月23日(火)

美術

Posted by mocchi