東京国立博物館『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』へ行ってきました

 

 以前、神奈川県立近代美術館 葉山で内藤礼氏の作品を観たことを紹介しました。自然光とのコラボレーションが絶妙で、さらにお天気が良く富士山とのコラボレーションも感動しました。今回も、東京国立博物館の一室と窓から差し込む自然の光との融合は素晴らしかったです。自然の光を取り入れるのは、生きるために必要なものとしてかかわっているようにも感じました。

 展示室の中央に長方形のキリの木の板が置いてありました。板の横に記されている矢印の方向を向いてその板に座ります。すると、窓から差し込む光の中に天井からテグスで吊るされているガラス玉や大理石のかけらを眺めることができました。ただ座り、かすかに揺れているガラス玉を眺めているだけでどうしてこんなに穏やかな気持ちになるのでしょうか。

 内藤礼氏のテーマ「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」は、簡単に理解できるテーマではないのですが、生まれてくること、生きること、さらに生き終わることは大切な意味があることをこの展覧会で問いかけられている感じがしました。ガラス玉を見つめて無心になり、ふと我に返ると心は凪のように穏やかなっている、そんな作品でした。

 東博での開催は、縄文時代の出土品と並べられることで太古の人々と今を生きる私たちとのつながりを思い起こさせます。心に染みこむ、何か優しいもので包まれるようなそんな感覚がありました。

 展示会場が東博内の3か所に分かれていて、移動の際に常設展が観られるのはちょっと嬉しかったです。

 この展覧会は、銀座のメゾンエルメスフォーラムでの展覧会へと続きます。

 

東京国立博物館『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』

 会期:2024年6月25日(火)~9月23日(月・祝)

銀座メゾンエルメスフォーラム『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』

 会期:2024年9月7日(土)~2025年1月13日(月・祝)

美術

Posted by mocchi