近づいたり離れたりしてみた結果、小さな作品は5歩、大きな作品は8歩下がった場所が私には最適でした。
これほど作品と建築が一体となった場所を体験するのは久しぶりでした。軽井沢にある千住博美術館。館内は森の中を歩きながら作品に触れているようです。床はもともとの地形の起伏を活かしていて平らではありません。カーブしていたり、坂道のようになっていたり。それは自然の中で静寂を体験しているようでした。順路はあるようでないところがまた素敵。
はじめにご紹介した5歩や8歩というのは、作品を観る「位置」です。展示されている作品は大きなものもあれば小さな作品もあります。離れすぎても近づきすぎても微妙。どの位置で観るのがいいのだろうと思って作品の前で前後左右、行ったり来たりしながらじっくり鑑賞してみました。その結果が冒頭の歩数です。みなさんそれぞれいろいろな場面で最適な場所というものがあると思います。私が千住さんの作品を観るための最適な場所が5歩と8歩で、千住さんの作品を展示するのに最適な場所が軽井沢のこの起伏を活かした地なのだと思いました。
ここは、言葉でよりも実際に体感してほしい場所。ぜひ一度訪ねてみてください。すべての作品に“静謐”という言葉が当てはまるよな、そんな空間でした。
